会社がビットコインなどの暗号資産を投資目的で買ったときの話《税務Q&A》|コラム
コラム
2025.08.28
仮想通貨
会社がビットコインなどの暗号資産を投資目的で買ったときの話《税務Q&A》
会社がビットコインなどの暗号資産を投資目的で買ったときの話《税務Q&A》
このページでは難しい税法の文章を簡単でわかりやすく理解重視で解説をしております。税金の専門家である大見が、だいたい3分でわかるようにした暗号資産の税金の話です。原文は下記をご参照ください。
登場人物
質問

大見さん、うちのお父さんの会社、余ったお金でビットコインを買おうかって言っていたよ。将来高くなったら売りたいみたいだけど、そういうのって会社の税金ではどうなるの?

いい質問だね、りりさん。実はビットコインみたいな「暗号資産」を会社が投資で持つとき、税金の計算のルールがちゃんと決まっているんだ。今日はそれを中学生のりりさんでもわかるように説明してみよう!会社ではなくて個人で所有したときは違うルールだから気を付けてね。
①そもそも「暗号資産」って何?

まず、「暗号資産」って何かわかる?

インターネットのお金みたいなやつ?
そうそう、ビットコインみたいに、国が保証するお金じゃないけど、みんなが売ったり買ったり、物を買う支払いに使ったりできる電子上の財産的な価値のことだよ。
②会社がビットコインを買うと「短期売買商品」って扱いになる

会社が買ったら特別な扱いなの?

うん。法律では、会社がビットコインを「投資で値段が上がったら売ろう」っていう目的で買ったら、「短期売買商品」っていう分類になるんだ。
これは金や銀みたいに「値動きで利益を得ようとするもの」と同じカテゴリーなんだよ。
③買ったときの値段(取得価額)

じゃあ、買ったときの値段は?

ビットコインを買ったときにかかったお金を「取得価額」っていうんだ。例えば、買った代金・送料・保険料・手数料こういうのを全部足して計算するんだよ。
④自分で発行する場合は?

もし会社が独自のコインを作ったら?

その場合は「発行にかかった費用」が取得価額になるんだ。つまり、作るためにかかったお金を記録するよ。
⑤マイニングの場合は?

マイニングってなんだっけ?

パソコンを使ってビットコインを掘り当てる作業だよ。
もし会社がマイニングでビットコインを手に入れたら、手に入れたときの時価を「収益」に入れる。そしてマイニングのために使った電気代や設備費は「経費」にできるんだ。
⑥売ったときの儲けや損

じゃあ、値上がりして売ったらどうなるの?

そのときは「儲け」を会社の利益に入れる。逆に安くなって売ったら「損失」を入れる。そして「売った」っていうのは、ビットコインを使って「物を買う」「他のコインと交換する」こういう場合も含むんだよ。
⑦どうやって計算するの?

どのビットコインをいくらで計算するの?

いい質問だね。計算方法は2つあって、会社が選べるんだ。
・移動平均法 買うたびに平均を更新
・総平均法 期末に全部まとめて平均
会社はどっちを使うか税務署に届け出る必要があるよ。届け出しないと移動平均法になるんだ。
⑧年末のときの値段(時価評価)

年末に持ってるビットコインはどうするの?

市場で取引されていて値段がわかるコインは、年末時点の価格で計算し直して利益や損失に入れるんだ。これを「時価評価」っていうよ。
でも市場が活発じゃなくて値段がはっきりしないものは、時価評価しなくていい場合もあるんだ。
⑨時価評価しなくていいコイン

どんなコインは時価評価しなくていいの?

例えば、「会社が自分で発行して他人に売れないようにしているコイン」「他人に売るのが制限されているコインで、「原価法」という計算方法を選んだもの」こういうのは、年末の時価評価の対象外になるんだよ。
⑩「みなし」で売ったことになる場合

「みなし」って?

たとえば最初は売れないコインだったのが、途中で売れるようになったときとか。その瞬間に「一回売って、また買った」ってみなして利益や損失を計算するルールがあるんだ。
税金逃れを防ぐためにこういう決まりがあるんだよ。
⑪信用取引の場合

ビットコインの信用取引って?

お金やコインを借りて売ったり買ったりする取引だよ。
決算のときにまだ決済していない取引があったら、「決済したもの」として利益や損失を計算するルールがあるんだ。そして翌年に調整(洗替え)するんだよ。
⑫まとめ

まとめると、こういう風に会社は税金を計算するんだよ・会社がビットコインを買うと「短期売買商品」になる
・買ったときの値段をしっかり記録する
・売ったら儲けや損失を計算
・年末に市場価格で評価することもある
・特殊なケースは「みなしで売却」
・信用取引は決算時に決済扱い

なるほど、会社でもちゃんとルールを守って計算しないといけないんだね!

そのとおりだよ。ちょっと難しいけど、これを理解して正しく申告するのが大事なんだ。
根拠条文等
《法令等》
法人税法61条
法人税法施行令118条の4
法人税法施行令118条の5
法人税法施行令118条の6
法人税法施行令118条の7
法人税法施行令118条の8
法人税法施行令118条の9
法人税法施行令118条の11
法人税法施行令118条の12
法人税法改正法(令和6年法律第8号)附則9条
資金決済に関する法律2条
法人税における暗号資産の取扱いは、以下のとおりです。
1. 暗号資産の定義
暗号資産は法人税法第61条第1項において「短期売買商品等」とされ、資金決済に関する法律第2条第14項に規定する暗号資産を指します。同項では以下のように定義されています。なお、暗号資産は国がその価値を保証する法定通貨ではありません。
(1)物品の購入、借受け、または役務の提供を受ける際に、不特定の者への代価の弁済手段として使用でき、また不特定の者を相手に購入および売却ができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法で記録されているものに限ります。本邦通貨、外国通貨、通貨建資産は除きます)で、電子情報処理組織を用いて移転可能なもの。
(2)不特定の者を相手に(1)に掲げるものと相互に交換ができ、電子情報処理組織を用いて移転可能な財産的価値。
(注)改正前の「短期売買商品」とは、金・銀・白金など価格変動を利用して利益を得る目的の取得資産(有価証券を除く)を指していましたが、平成31年度税制改正で仮想通貨が追加され、「短期売買商品等」となりました(法人税法61条、法人税法施行令118条の4)。
2. 暗号資産の取得価額
暗号資産の取得方法に応じて、以下のように取り扱われます(法人税法61条、法人税法施行令118条の5)。
(1)購入した暗号資産は、購入代金に加え、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税(附帯税を除く)など購入に要した費用を加算した金額となります。
(2)自己発行による暗号資産は、その発行に要した費用の額となります。
(3)上記以外(適格分社型分割、適格現物出資、適格現物分配による取得を除く)は、取得時点で通常要する価額となります。
(注)いわゆるマイニング、ステーキング、レンディングなど(以下「マイニング等」といいます)により取得した場合は、取得時点の時価を収益に計上し、マイニング等に要した費用は損金に算入します(国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて」令和5年12月最終改訂1-6参照)。
3. 暗号資産の譲渡損益の計上
内国法人が暗号資産を譲渡した場合、その譲渡による利益額または損失額は、原則として、その譲渡契約をした日の属する事業年度の益金または損金に算入します(法人税法61条)。
この「譲渡」には、単純な売却だけでなく、暗号資産を使った商品購入や暗号資産同士の交換なども含まれます。
また、譲渡原価の一単位あたりの帳簿価額は、同じ種類や銘柄ごとに「移動平均法」または「総平均法」により計算します(法人税法施行令118条の6)。
この計算方法は、暗号資産を取得した日の属する事業年度の確定申告書提出期限までに所轄税務署長に届け出る必要があります。
届け出をしない場合や届け出と違う方法を使った場合は、法定の算出方法として移動平均法が適用されます(法人税法61条、法人税法施行令118条の6)。
なお、暗号資産信用取引(法人税法61条7項)を行った場合の譲渡損益の計上時期は次のようになります。
暗号資産を売付けた後、同じ種類の暗号資産を買付けして決済する場合は、通常の約定日基準の例外として、売付けた契約日ではなく、その決済に係る買付け契約をした日の属する事業年度となります(法人税法基本通達26の9九)。
暗号資産を買付けた後、同じ種類の暗号資産を売付けして決済する場合は、上記の約定日基準どおり、決済に係る売付け契約をした日の属する事業年度となります。
4. 事業年度末における時価評価損益の計上
内国法人が事業年度終了時に保有する暗号資産のうち、活発な市場が存在する一定のもの(以下に該当するもの)は、時価法によって評価した評価益または評価損を、その事業年度の益金または損金に算入します(法人税法61条2項・3項)。
時価法とは、事業年度終了時に保有する暗号資産を種類や銘柄ごとに区分し、その時点の価額を一定の方法で計算して評価する方法をいいます。
上記の評価損益は、翌事業年度において洗替処理を行います(法人税法施行令118条の10)。
なお、時価評価の対象となる「市場暗号資産」は、次のすべての要件を満たすものとされています(法人税法施行令118条の7)。
(1)売買価格など(他の暗号資産との交換比率を含みます)の公表が継続的に行われ、その公表価格が売買や交換比率の決定に重要な影響を与えていること。
(2)上記(1)の公表が継続的に行われるために、十分な数量および頻度で取引が行われていること。
(3)次のいずれかに該当すること。
イ 上記(1)の価格等の公表が法人自身以外の者により行われていること。
ロ 上記(2)の取引が主として法人自身の計算で行われたものではないこと。
(注)会計上は、活発な市場が存在しない暗号資産の期末評価額が取得価額を下回る場合、評価損の計上を認めています(平成30年実務対応報告38号第6項)。しかし税務上では、評価損の計上は認められていません。
5. 時価評価損益対象から除外される暗号資産
事業年度末に保有する市場暗号資産のうち、時価評価による損益計上の対象から除外されるものとして、譲渡が制限されるなど一定要件を満たす以下の暗号資産があります。
(1)特定自己発行暗号資産(令和5年度税制改正で新設)
特定自己発行暗号資産とは、法人が発行し、発行時から継続して保有し続け、他者への移転ができないよう技術的措置を講じるなどの譲渡制限があるものをいいます(法人税法施行令118条の7)。
(2)譲渡制限付暗号資産で原価法を選択したもの(令和6年度税制改正で追加)
譲渡制限付暗号資産とは、他への譲渡制限など一定条件があり、その条件が認定資金決済事業者協会を通じて公表されるなど一定の手続が行われたものをいいます。
譲渡制限付暗号資産は、種類ごとに「時価法」または「原価法」のいずれかの評価方法を選択し、取得した日の属する事業年度の確定申告書提出期限までに税務署長へ届け出を行う必要があります(法人税法施行令118条の6、118条の9)。
選択しない場合は原価法が適用されます(法人税法61条2項)。
この改正は令和6年4月1日以後に終了する事業年度から適用されます(令和6年改正法附則9条1項)。
6. 暗号資産の区分変更等によるみなし譲渡について
内国法人が自社の計算で保有している暗号資産について、以下(1)の一定の事実が生じた場合は、(2)のルールに基づき、その事実が生じた時点や事業年度終了時点において、帳簿価額または一定の方法で計算した金額により譲渡し、同額で再取得したものとみなして、各事業年度の所得金額を計算します(法人税法61条6項)。
この規定は令和6年度税制改正で新設され、令和6年4月1日以後に終了する事業年度から適用されます(令和6年改正法附則9条1項)。
(1)みなし譲渡とされる一定の事実は次のとおりです(法人税法施行令118条の11)。
イ 特定自己発行暗号資産に該当しなくなった場合。
ロ 以下の事実が生じた場合(その事業年度開始時から事実発生直前までに市場暗号資産に該当していたものに限ります。直前に特定自己発行暗号資産だったものは除きます)。
(イ)特定譲渡制限付暗号資産に該当することとなった場合。
(ロ)特定譲渡制限付暗号資産に該当しなくなった場合(時価法選定特定譲渡制限付暗号資産に限ります)。
(ハ)評価方法の変更により、時価法選定特定譲渡制限付暗号資産に該当しなくなった場合。
(ニ)特定譲渡制限付暗号資産に該当しなくなった場合(上記(ロ)を除きます)。
(注)「時価法選定特定譲渡制限付暗号資産」とは、事業年度終了時の評価額を時価評価金額とするものをいいます。
ハ 二号暗号資産に該当しないものについて、次の事実が生じた場合(特定自己発行暗号資産を除きます)。
(イ)その暗号資産が特定譲渡制限付暗号資産に該当することとなった場合。
(ロ)その暗号資産が特定譲渡制限付暗号資産に該当しなくなった場合。
ニ その事業年度内のいずれかの時点で市場暗号資産に該当しなくなった場合。
(イ)ただし事業年度終了時点で市場暗号資産、特定譲渡制限付暗号資産(期間内に時価法選定特定譲渡制限付暗号資産に該当していたものを除く)、または特定自己発行暗号資産に該当するものは除きます。
(ロ)事業年度内に上記ロ(ハを除く)の事実が生じ、その発生時点(複数回あれば最も遅い時点)で市場暗号資産に該当しないもの。
(ハ)事業年度内に上記ロ(ハ)に掲げる事実が生じたもの。
(2)上記(1)の一定の事実が生じた場合の、みなし譲渡の認識時期および譲渡価額(取得価額)は以下のとおりです(法人税法施行令118条の11)。
イ 上記(1)のイ、ロの(ニ)、またはハの事実が生じた暗号資産については、その事実が生じた時点で、直前の帳簿価額で譲渡し、同額で取得したものとみなされます。
ロ 上記(1)のロ(イ~ハ)またはニに該当する暗号資産については、その事実が生じた時点(ロの(ハ)またはニの場合は、その事業年度終了時)で、公表された期末直前の売買価格に保有数量を乗じて計算した金額で譲渡し、同額で取得したものとみなされます。
(3)なお、令和6年度税制改正前も、事業年度終了時点で市場暗号資産に該当しない暗号資産がその事業年度中に市場暗号資産だった場合や、特定自己発行暗号資産が該当しなくなった場合には、みなし譲渡が適用されていました。
令和6年度改正では、特定譲渡制限付暗号資産が追加され、改正前の内容を含め、みなし譲渡を認識する事実やその損益計算の取扱いが整理されました。
改正後の内容は令和6年4月1日以後に終了する事業年度から適用されます(令和6年改正法附則9条1項)。
7. 未決済暗号資産信用取引におけるみなし決済
内国法人が暗号資産信用取引(資金決済に関する法律第2条第15項に規定する、暗号資産交換業を行う者から信用の供与を受けて行う売買)を行っており、その取引のうち事業年度終了時にまだ決済されていないものがある場合には、その時点で「決済したもの」とみなして、一定の方法で計算した利益または損失相当額(みなし決済損益額)をその事業年度の益金または損金に算入します(法人税法61条7項)。
このみなし決済損益額は、翌事業年度において洗替処理を行います(法人税法施行令118条の12)。
執筆者 税理士 大見 光男(おおみ みつお)
税理士登録番号 156268
東京税理士会所属
大見税理士事務所|東京都目黒区・世田谷区・自由が丘/相続・暗号資産・法人税務に強い税理士
略歴
1982年 東京都大田区・六郷土手にて生まれる
2004年 日本大学卒業
2013年 大田区の会計事務所にて、中小法人・医業・不動産所得の申告・節税対策を担当
2017年 税理士登録。大見光男税理士事務所を開業
2018年 著書『だいたい3分でわかる仮想通貨の税金の話』(税務経理協会)を出版
2022年 病気療養のため一時休業
2025年 税理士に再登録し、「大見税理士事務所」を再スタート
保有資格
税理士(税理士登録番号 156268)
セミナー・講演実績
サンワード貿易株式会社 仮想通貨税金セミナー(2019年10月)
仮想通貨節税セミナー「法人化のメリット・デメリット」(2018年10月)
サンワード貿易株式会社「知っていると知らないとじゃ大違い!!」仮想通貨税金セミナー(2018年10月)
一般社団法人日本マイニング協会主催「暗号通貨投資と節税セミナー」(2018年8月・9月・10月)
税理士による仮想通貨の確定申告セミナー(2018年1月)
メディア取材
株式会社KADOKAWA「ASCII.jp」取材(2018年2月)
税理士ドットコム 取材(2018年10月)
書籍・寄稿
『税経通信』1月号 特集(税務経理協会)「仮想通貨の基礎知識と所得計算実務」(2018年12月)
『だいたい3分でわかる仮想通貨の税金の話』(ぱる出版)」(2018年10月)



