国税庁の暗号資産FAQの税理士による解説|コラム

2025.09.10

仮想通貨

国税庁の暗号資産FAQの税理士による解説

更新日 2025年9月10日|執筆 大見光男(税理士)

今回のコラムでは、暗号資産の所得計算における留意点、最新の税務調査の状況、そしてステーブルコインや電子決済手段に関する税務の考え方について解説いたします。

国税庁が公表している最新の情報は以下の2つです。

令和5年12月25日 「暗号資産に関する税務上の取扱い」

令和5年1月13日 「NFTに関する税務上の取扱い」

国税庁は例年12月頃に新しいFAQを公表する傾向があります。そのため、暗号資産に関与される際には、必ず最新のFAQを確認することが重要です。

暗号資産の売却・交換と課税関係

暗号資産を売却した場合は、売却価格から取得価格および手数料を差し引いた額が所得金額となります。

商品購入に利用した場合も同様に、商品の価格と取得価格との差額が所得となります。

暗号資産同士の交換についても課税対象です。「ビットコインでイーサリアムを購入する」場合など、取得価格との差額が所得金額となります。交換は一見すると「入れ替え」ですが、実務上は売却と同様の扱いになります。

エアドロップの課税

保有しているだけで付与される「エアドロップ」については、対象トークンの性質や時価の有無に留意が必要です。一般的には、時価がある場合は付与をされた時点で課税対象となると考えられます。ただし、時価がないエアドロップの場合は課税対象になりません。売却できない暗号資産が付与されるケースもあるため、取得時点の性質確認が重要です。

マイニング・ステーキング・レンディング

マイニングは、PC等で演算を行い暗号資産を生成する行為です。取得した暗号資産の価格から必要経費(主に電気代等)を差し引いた金額が所得金額となります。電力コストが収益性を大きく左右するため、事前の収益性分析が重要です。

ステーキングは、暗号資産をステーキングプールに預けて報酬を得る取引です。受領した報酬額から必要経費を差し引いた金額が所得となります。

レンディングは、暗号資産を貸し付けて利息を受け取る取引です。利率は概ね年5%程度とされ、銀行預金と比較して高い利回りが期待できます。

所得区分と雑所得の扱い

暗号資産の所得は原則として雑所得です。事業所得と認められるには、相当規模で継続的かつ独立した取引実態が必要であり限定的です。一般の個人投資家や会社員の取引は雑所得として処理するのが通常です(事業所得と認められた場合でも税率構造は同じで、青色申告特別控除や経費範囲が広がる程度の差にとどまります)。

必要経費の考え方

PC・スマートフォン・タブレット等の取引用機器、インターネット利用料、専門セミナーや情報提供サービスの費用などが該当します。一方、飲食代などは通常必要経費としては認められません。また、多くの場合は私用との混在があるため家事按分の検討が必要で、想定より経費算入しにくい点に留意してください。

評価方法と届出(総平均法/移動平均法)

暗号資産の評価方法には、総平均法(原則)と移動平均法(届出選択)があります。暗号資産の種類ごとに評価方法を選択可能です。評価方法を変更する場合は、毎年3月15日までに届出の提出が必要です。

取得価格が不明な場合

銀行口座の出金履歴等から購入時期・価格を特定します。なお不明なときは、売却価格の5%を取得価格とみなします。

所得計算の実務と国税庁のExcelシート

国税庁は総平均法用のExcelシートを提供しており、国内取引所の年間取引報告書を利用すれば自動計算が可能です。ただし、移動平均法や海外取引所には未対応のため、専用ソフトや手動計算が必要です。簿記の知識を要するため、慣れていない方は専門家のサポートを推奨します。

また、暗号資産取引で損失が生じても、給与所得など他の所得と損益通算は不可で、雑所得内でのみの処理となります。

法人税と暗号資産

令和6年度改正により、法人が発行した暗号資産のうち第三者保有分は期末評価課税の対象外となりました。一方、通常の売買目的で保有する暗号資産は、従来どおり期末時価評価が必要です。

相続税・贈与税における暗号資産

相続や贈与で取得した暗号資産は、発生時点の時価で評価します。暗号資産のみを多額に保有していた場合、評価額が大きくなり得るため税負担にも注意が必要です。

財産債務調書への記載

暗号資産を海外取引所に保管していても、日本国内で提出が必要な財産債務調書の対象となる場合があります(一定額超)。一方、国外財産調書への記載は不要と整理されていますが、判定は期末時点の評価額や保有状況に依存します。

まとめ 最新FAQの継続確認が大切

暗号資産の税務は日々変化しています。売却、交換、エアドロップ、マイニング、ステーキング、レンディングなど取引形態ごとにルールが異なるため、最新の国税庁FAQを踏まえた慎重な対応が欠かせません。処理が複雑な場合は、ご相談ください。

執筆者 税理士 大見 光男(おおみ みつお)

税理士登録番号 156268

東京税理士会所属

大見税理士事務所|東京都目黒区・世田谷区・自由が丘/相続・暗号資産・法人税務に強い税理士

略歴

1982年 東京都大田区・六郷土手にて生まれる

2004年 日本大学卒業

2013年 大田区の会計事務所にて、中小法人・医業・不動産所得の申告・節税対策を担当

2017年 税理士登録。大見光男税理士事務所を開業

2018年 著書『だいたい3分でわかる仮想通貨の税金の話』(税務経理協会)を出版

2022年 病気療養のため一時休業

2025年 税理士に再登録し、「大見税理士事務所」を再スタート

保有資格

税理士(税理士登録番号 156268)

セミナー・講演実績

サンワード貿易株式会社 仮想通貨税金セミナー(2019年10月)

仮想通貨節税セミナー「法人化のメリット・デメリット」(2018年10月)

サンワード貿易株式会社「知っていると知らないとじゃ大違い!!」仮想通貨税金セミナー(2018年10月)

一般社団法人日本マイニング協会主催「暗号通貨投資と節税セミナー」(2018年8月・9月・10月)

税理士による仮想通貨の確定申告セミナー(2018年1月)

メディア取材

株式会社KADOKAWA「ASCII.jp」取材(2018年2月)

税理士ドットコム 取材(2018年10月)

書籍・寄稿

『税経通信』1月号 特集(税務経理協会)「仮想通貨の基礎知識と所得計算実務」(2018年12月)

『だいたい3分でわかる仮想通貨の税金の話』(ぱる出版)」(2018年10月)

 

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