【50代からの親の相続準備】遺産は誰が受け継ぐ?大見税理士事務所が教える法定相続人と相続順位のやさしい基礎知識|コラム
コラム
2026.03.23
相続
【50代からの親の相続準備】遺産は誰が受け継ぐ?大見税理士事務所が教える法定相続人と相続順位のやさしい基礎知識
ご両親が年齢を重ねられ、ご実家に帰省された際などにふと「もしものことがあったら、親の遺産やこの家はどうなるのだろうか」と心細く感じたことはありませんか。
50代という年代は、親の老後や相続という現実的な問題に直面し始める時期です。親が一生懸命に築き上げてきた大切な財産をめぐって、仲の良かったはずの兄弟や親族が揉めてしまう悲しいお話は、決してテレビの中だけの出来事ではありません。相続への不安や、相続税が一体いくらかかるのかという税金の心配など、見えない未来に対する深い悩みを抱えている方は非常に多くいらっしゃいます。しかし、どうかご安心ください。法律で定められた基本的なルールを事前に知っておくだけで、ご家族の不安は大きな安心へと変わります。
今回は、相続初心者の方に向けて、大見税理士事務所が専門用語を使わずに平穏でやさしい言葉で「遺産は誰が受け継ぐのか」という一番の基礎知識をお話しいたします。最後までお読みいただくことで、あなたのご家族が歩むべき道筋がはっきりと見えてくるはずです。
執筆:大見税理士事務所|東京都目黒区・世田谷区・自由が丘/相続・暗号資産・法人税務に強い税理士。
誰が遺産をもらえるの?親の相続で絶対に知るべき基本ルールを学んで家族の争いを防ぐ知識を手に入れる
人がお亡くなりになったとき、その方が残したご自宅や預貯金といった遺産を誰が受け継ぐのかについては、残されたご家族の間で悲しい争いが起きないように民法という法律で画一的に定められています。ご両親の相続を考える際、亡くなられたお父様やお母様を被相続人と呼び、財産を受け継ぐ皆様のことを相続人と呼びます。
法律上の相続人になれるのは、大きく分けてお二つの立場の方だけです。一つは亡くなられた方の配偶者、つまりご夫婦のパートナーです。そしてもう一つは、亡くなられた方と血のつながりがある血族と呼ばれるご家族です。
ご家族の状況がどのようであっても、亡くなられた方の配偶者は常に必ず相続人になるという非常に強い権利を持っています。これは、長年連れ添ったご夫婦のその後の生活を法律が手厚く守るためです。ただし、ここで皆様にぜひ知っておいていただきたい大切なポイントがあります。法律で守られる配偶者とは、市役所などに婚姻届を提出している正式なご夫婦のみに限られるということです。どんなに長い期間を一緒に過ごし、深い愛情で結ばれていたとしても、婚姻届を出していない内縁関係のままでは、法律上の相続人として遺産を受け継ぐことは一切できません。ここは多くの方が誤解しやすい部分ですので、しっかりと覚えておきましょう。
相続には明確な順番がある!第一順位から第三順位までの仕組みを理解して自分の立場を確認する
配偶者が常に遺産を受け継ぐ権利を持つ一方で、血のつながったご家族の間には、遺産を受け継ぐことができる明確な優先順位が法律で決められています。この順番は第一順位から第三順位まであり、上の順位の方が一人でもいらっしゃる場合は、下の順位の方には遺産を受け継ぐ権利は絶対に回ってきません。とてもわかりやすい仕組みですので、ご自身のご家族に当てはめながら読み進めてみてください。
もっとも優先される第一順位の相続人は、亡くなられた方のお子様です。50代の皆様がご両親の相続に直面された場合、まさに皆様ご自身がこの第一順位という最も優先される立場になります。
お子様には、法律上の手続きを経て家族となった養子の方も含まれ、血のつながった実のお子様と全く同じように遺産を受け継ぐ権利を持ちます。また、お父様がお亡くなりになった時点でお母様のお腹の中にいるまだ生まれていない赤ちゃんについても、無事に生まれてくることを条件にすでに生まれたものとして扱われ、第一順位の相続人として優しく守られます。亡くなられた方にお子様がいらっしゃる場合、遺産を受け継ぐのは配偶者とお子様だけとなり、ご両親のご兄弟などに権利が移ることはありません。
もし、亡くなられた方にお子様やお孫さんが一人もいらっしゃらなかった場合は、第二順位の方に出番が回ってきます。第二順位の相続人は、亡くなられた方のご両親や祖父母といった上の世代のご家族です。お父様やお母様のどちらか一方でもご健在であれば、その方が配偶者とともに相続人となります。
そして、亡くなられた方にお子様もご両親もいらっしゃらない場合に、最後の順番として登場するのが第三順位であるご兄弟や姉妹です。ご両親が同じであるご兄弟はもちろんのこと、お父様かお母様のどちらか一方だけが同じであるご兄弟にも遺産を受け継ぐ権利があります。ご自身の家族構成をこの順番に当てはめてみることで、誰が相続人になるのかがはっきりと見えてきます。
もし相続するはずの人が先に亡くなっていたら?代襲相続の落とし穴を知って思わぬトラブルを避ける安心を得る
大見税理士事務所にご相談にいらっしゃる方から非常に多く寄せられる疑問があります。それは、本来遺産を受け継ぐはずだったご長男が、ご両親よりも以前にお亡くなりになっているようなケースはどうなるのかというご不安です。
このように、本来であれば相続人になるはずだったお子様が先にお亡くなりになっている場合、その亡くなられたお子様の子、つまりご両親から見てお孫さんが代わりに遺産を受け継ぐことができます。これを法律の言葉で代襲相続と呼びます。
親を早くに亡くしてしまったお孫さんが不利益を受けないようにするための、法律のあたたかい仕組みです。第一順位のお子様の家系においては、お孫さんも亡くなられている場合にはさらにその下のひ孫が代わりに受け継ぐことができます。
一方で、第二順位であるご両親などの上の世代にはこの代わりの仕組みはありません。第三順位であるご兄弟が先にお亡くなりになっている場合も代襲相続は起こり、甥っ子さんや姪っ子さんが代わりに遺産を受け継ぎますが、ご兄弟の場合は甥や姪の世代までの一代限りと決められているのが特徴です。
ここで一つ、相続初心者の方が陥りやすい大きな落とし穴をお伝えします。遺産を受け継ぐ権利を自ら手放す相続放棄という手続きを家庭裁判所で行った人は、法律上初めから相続人ではなかったという扱いを受けます。
そのため、相続放棄をした人にお子様がいたとしても、そのお孫さんが代わりに遺産を受け継ぐ代襲相続は絶対に起こりません。この点を知らずに思い込みで話し合いを進めてしまうと後々大きな問題となりますので、くれぐれもご注意ください。
大見税理士事務所が実際に直面した相続トラブル体験談!早めの相続対策が家族の笑顔を守る理由に気づく
ここで、私たち大見税理士事務所がこれまでサポートさせていただいた中で、実際にあった体験談を一つお話しさせてください。ご相談者の男性は50代後半で、お父様の相続を控えていらっしゃいました。お母様と二人で「父の遺産は母と自分たちだけで分けるから何の問題もない」と安心しきっておられました。
しかし、詳しくお話を伺うと、男性には随分昔に音信不通のままお亡くなりになったお兄様がいらっしゃり、そのお兄様にはお子様、つまり男性から見て甥っ子さんがいることが判明したのです。
この場合、先ほどお話しした代襲相続のルールにより、全く疎遠になっていた甥っ子さんが第一順位の法定相続人として突然登場することになります。銀行の口座を凍結から解除するためにも、ご自宅の名義を変更するためにも、原則として相続人全員での話し合いと実印での判子が必要になります。
男性とお母様は代襲相続の説明をした際「甥の連絡先すら知らないのにどうすればいいのか」と途方に暮れてしまわれました。幸いにも、お父様がご健在なうちに私たちが間に入り、お父様のお気持ちをしっかりと反映した遺言書を作成するなどの適切な相続対策を打つことができました。
結果として、お父様がお亡くなりになった後も親族間で一切揉めることなく、スムーズに手続きを終えることができ、ご家族の笑顔と平穏な日常を守ることができたのです。インターネット上の一般的な情報だけでは、ご自身の家族に潜む具体的なリスクにはなかなか気がつくことができません。だからこそ、ご両親がお元気なうちから専門家の目を通した客観的な独自の視点を取り入れることが、本当に価値のある生前対策へとつながるのです。
相続税はいくらになる?税金の不安を和らげて今日からできる第一歩を踏み出す勇気をもつ
「親の財産を受け継ぐのはわかったけれど、結局のところ相続税はいくら払わなければならないのだろうか」とお悩みの方も多いことでしょう。実は、皆様が一番知りたい相続税の計算を行うにあたって、今日お話しした法定相続人が誰であるかを正確に把握することが、絶対に欠かせない第一歩となります。なぜなら、相続税には基礎控除という非課税の枠が設けられており、法定相続人の数が何人いるかによって、税金がかかるかどうかの基準額が大きく変わってくるからです。
相続税の計算や、将来への不安を解消するための対策は、ご家庭ごとの事情や財産の状況によってまるでパズルのように答えが異なります。ご両親の大切な想いと財産を、争うことなく穏やかな形で次の世代へとつないでいくために。ご自身で抱え込まず、少しでもわからないことやご心配なことがございましたら、身近な相談相手である私たち大見税理士事務所へどうぞお気軽にお声がけください。
相続税がいくらになるのかという試算はもちろんのこと、ご家族皆様が安心できるあたたかい未来に向けて、経験豊富な私たちが誠心誠意、全力でサポートさせていただきます。今日このコラムをお読みいただいたことが、皆様のご家族の絆を深める素晴らしい第一歩となりますように。
親の相続を知るための用語集
被相続人(ひそうぞくにん) 亡くなった人のことを指します 。相続とは、この被相続人から財産を承継することです 。
相続人(そうぞくにん) 亡くなった人の財産を承継する人を指します 。
配偶者相続人(はいぐうしゃそうぞくにん) 被相続人の夫または妻です 。婚姻届を提出している正式な婚姻関係にある者に限られ、内縁の妻などは含まれません 。他の誰が相続人となっても、常に相続人となります 。
血族相続人(けつぞくそうぞくにん) 血のつながり(自然血族)や養子縁組(法定血族)によって相続人となる人々です 。子、直系尊属、兄弟姉妹がこれに該当し、法律で定められた順位に従って相続権が発生します 。
直系尊属(ちょっけいそんぞく) 父母や祖父母など、自分より前の世代の家系図を直線で遡る親族のことです 。
代襲相続(だいしゅうそうぞく) 相続人となるはずの人が「以前死亡(被相続人より先に亡くなっていること)」などの場合に、その人の子が代わって相続人となる仕組みです 。子の代襲(孫など)は制限なく行われますが、兄弟姉妹の代襲(甥・姪)は1回限りとされています 。
相続の放棄(そうぞくのほうき) 相続人となる権利を放棄することです 。相続開始を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります 。放棄をした人は「初めから相続人とならなかったもの」とみなされるため、その子が代襲相続をすることはできません 。
法定相続分(ほうていそうぞくぶん) 遺言がない場合に、相続人間で話し合いをする際の一つの目安となる承継割合です 。
法定相続人の数(ほうていそうぞくにんのかず) 相続税の基礎控除額や生命保険金の非課税限度額を計算する際に使われる人数です 。相続放棄があった場合でも、その放棄がなかったものとした場合の人数で数えます 。
根拠条文
民法887条、889条、890条
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大見税理士事務所|東京都目黒区・世田谷区・自由が丘/相続・暗号資産・法人税務に強い税理士。
執筆者は税理士 大見光男(税理士登録番号 156268、東京税理士会玉川支部所属)。相続・暗号資産・法人税務を専門分野とし、13年以上のキャリアを有しています。これまで著書・セミナー・取材などを通じて専門知識を発信してきました。本記事は、制度の概要を一般向けにわかりやすく整理したものです。細部の要件や例外については割愛しております。個別事情により取扱いが異なる場合がありますので、詳細はお問い合わせください(2026年3月現在の法令に基づく解説です)。

