親の相続が不安な50代必見。相続税の納税義務者と申告スケジュールを大見税理士事務所が初心者向けに徹底解説|コラム
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2026.03.30
相続
親の相続が不安な50代必見。相続税の納税義務者と申告スケジュールを大見税理士事務所が初心者向けに徹底解説
50代を迎え、ご両親の年齢を考えると、そろそろ相続のことが気になり始めているのではないでしょうか。親の相続を控えているけれど、何から手をつけていいのかわからないという相続初心者の方はたくさんいらっしゃいます。
大見税理士事務所にも、相続税がいくらになるのか知りたい、今のうちに相続対策をしたいという切実なご相談が日々寄せられます。相続という言葉には漠然とした不安がつきまといますが、法律の仕組みや手続きのスケジュールをあらかじめ知っておくことで、その不安は大きく和らぎます。
この記事では、相続税の基本的なルールや、誰が相続税を納める義務を負うのかといった点について、できるだけ専門用語を使わず、平穏でやさしい言葉で解説していきます。執筆大見税理士事務所|東京都目黒区・世田谷区・自由が丘/相続・暗号資産・法人税務に強い税理士。
【第1章】 親の相続はいつから始まるのか
(この章で得られること:相続発生から申告や納付までの全体的なスケジュール感がわかります)
相続の手続きは、いつ、どのように始まり、いつまでに終わらせなければならないのでしょうか。民法第882条には「相続は、死亡によって開始する。」と定められています。つまり、ご両親のどちらかがお亡くなりになったその瞬間から、相続という大きな法的な手続きがスタートするのです。
大見税理士事務所でご相談を受けていて一番多く感じるのは、皆様が「悲しみに暮れる間もなく、次々と手続きに追われてしまう」という戸惑いです。人の死亡によって相続が開始されると、まず確認しなければならないのは遺言書の有無です。亡くなった方が生前にご自身の財産の分け方を決めていた場合、原則としてその遺言の内容に従って財産を分けることになります。遺言書がある場合には、家庭裁判所で遺言書の検認という手続きが必要になることもあります。ただし、公証役場で作られた公正証書遺言や法務局での自筆証書遺言保管制度であれば、この検認の手続きは不要です。
遺言書がない場合はどうなるのでしょうか。その場合は、法律で定められた相続人である法定相続人全員で、誰がどの財産を受け継ぐのかを話し合う遺産分割協議を行うことになります。この話し合いがまとまれば、遺産分割協議書を作成し、それに基づいて名義変更や預金の解約などを進めていきます。もし話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所での調停や審判に委ねることになり、解決までに長い時間がかかってしまうことも少なくありません。
そして最も注意しなければならないのが、相続税の申告と納付の期限です。相続税法第27条には、相続の開始があつたことを知った日の翌日から10か月以内に申告書を提出しなければならないと定められています。この10か月という期間は、長いようでいて、実際にはあっという間に過ぎてしまいます。財産の調査、相続人の確定、遺産の評価、そして遺産分割協議と、やるべきことは山積みです。相続税は金銭で一括して納めるのが原則ですので、納税資金の準備も必要になります。大見税理士事務所の体験談としても、申告期限の直前になって「財産の全容がわからない」と駆け込んでこられるお客様がいらっしゃいますが、そうなると特例を使えなくなったり、慌てて不利な遺産分割をしてしまったりするリスクが高まります。だからこそ、生前からの相続対策とスケジュール把握が何よりも大切なのです。
【第2章】 あなたは相続税を払う人なのか
(この章で得られること:ご自身が相続税の納税義務者に当てはまるのか、その分類がわかります)
相続の手続きが進むにつれて、果たして自分は相続税を払うわなければならないのかという疑問が湧いてくることでしょう。相続税の納税義務については、相続税法第一条の三において細かく規定されています。
基本として、相続税は「個人」に対して課される税金です。亡くなった人から財産を受け継ぐのは、親から子へ、夫から妻へといったように、個人と個人の間で起こる出来事だからです。この財産を受け取った人が、日本国内に住んでいるのか、それとも海外に住んでいるのか、あるいは日本国籍を持っているのかどうかによって、相続税がかかる財産の範囲が変わってきます。
大見税理士事務所では、納税義務者をわかりやすく四つのグループに分けてご説明しています。
第一のグループは、居住無制限納税義務者と呼ばれる人たちです。これは、財産をもらった時に日本国内に住所があり、かつ、一時的な滞在ではない個人のことです。多くの日本人がこのグループに当てはまります。この場合、日本国内にある財産はもちろんのこと、海外にある財産も含めて、受け取ったすべての財産に対して相続税がかかります。
第二のグループは、非居住無制限納税義務者と呼ばれる人たちです。財産をもらった時に日本国内に住所がない、つまり海外に住んでいる人ですが、日本国籍を持っており、過去十年以内に日本に住んでいたことがあるような場合が該当します。この場合も、世界中どこにある財産を受け取っても、すべてに相続税がかかります。ただし非居住者の納税義務は、日本国籍の有無だけで決まるものではなく、被相続人が『外国人被相続人』『非居住被相続人』等に該当するかによっても変わります。
第三のグループは、居住制限納税義務者です。日本に住んでいるものの、一時的な滞在である外国籍の方などが当てはまります。この場合、日本国内にある財産を受け取ったときだけ相続税がかかり、海外にある財産には日本の相続税はかかりません。
第四のグループは、非居住制限納税義務者です。海外に住んでいて、日本国籍を持たない人などが該当します。この場合も、日本国内にある財産を受け取ったときに限り、日本の相続税がかかります。しかし日本国籍がない人でも、被相続人が外国人被相続人・非居住被相続人・非居住外国人でない場合には、日本国外財産まで課税対象になります。
このように、ご自身がどのグループに属するかによって、課税される財産の範囲が「全財産」なのか「日本国内にある財産のみ」なのかが変わるという仕組みになっています。
【第3章】 海外に住んでいる子供や外国籍の場合の相続税
(この章で得られること:国際化社会における複雑な納税義務のルールがスッキリ理解できます)
最近では、お子様が海外の企業に就職したり、国際結婚をして海外に生活の拠点を移したりするケースが非常に増えています。大見税理士事務所にご相談に見えられる50代以上の皆様からも、「息子はアメリカで暮らしているけれど、日本の実家を相続したら税金はどうなるの」というご質問をよくお受けします。
ここで重要になってくる用語がいくつかありますので、初心者の方にもわかりやすく解説いたします。まず一時居住者という言葉です。これは、相続が起きた時に日本で仕事などをするための在留資格を持っており、過去十五年間のうち日本に住んでいた期間の合計が十年以下である人を指します。つまり、日本に長く住み着くつもりはない外国の方などを想定しています。
次に外国人被相続人という言葉です。これは、亡くなった時に在留資格を持って日本に住んでいた外国籍の方を指します。 そして非居住被相続人とは、亡くなった時に日本に住んでいなかった人で、過去十年以内に日本に住んでいたことがあっても日本国籍を持っていなかった人や、過去十年間に一度も日本に住んでいなかった人を指します。
例えば、日本の大学に留学している外国人の学生が、海外にいる両親から仕送りを受けている場合、生活の拠点は日本にあるとみなされ、日本国内に住所があるとして扱われます。住所があるかどうかは、住民票の有無だけでなく、実際の生活の拠点がいまどこにあるのかという実態で判断されるのです。
海外に住んでいるお子様が日本国籍を持っていて、過去十年間に一度でも日本に住んでいたことがある場合、前章でご説明した非居住無制限納税義務者となります。そのため、ご両親が日本に残した預貯金や不動産だけでなく、もしご両親が海外に持っていた財産を受け継いだとしても、それらすべてに日本の相続税がかかることになります。
海外に財産を移せば日本の税金から逃れられるのではないか、と考える方がいらっしゃるかもしれませんが、国境を越えた財産の移動による過度な税逃れを防ぐために、法律はとても厳密に作られています。お子様が海外で生活されているご家庭は、将来の相続発生時に世界中のどの財産に日本の税金がかかるのかを事前に把握し、納税資金をどうやって海外から準備するのかといった対策を立てておくことが不可欠です。
なお、相続税の納税義務は、日本国籍の有無だけで決まるものではなく、被相続人が外国人被相続人・非居住被相続人等に該当するかどうかによっても、国外財産まで課税対象となるかが変わります。
【第4章】 個人ではない団体に財産を残した場合の注意点
(この章で得られること:法人や社団に財産を移して相続税を逃れようとするリスクとその防ぎ方がわかります)
相続税は個人が財産を受け継いだときにかかる税金であるとご説明しました。それでは、会社や一般社団法人などの団体に財産を遺贈、つまり遺言で財産を譲った場合はどうなるのでしょうか。法人には相続税ではなく法人税がかかるのが原則です。しかし、この原則を悪用して、自分が作った団体に財産を移すことで相続税を逃れようとするケースが過去にありました。
これを防ぐために、相続税法第六十六条などにより、個人とみなされる納税義務者というルールが設けられています。法人の中には、株式会社のように誰がどのくらいの権利を持っているかという持分がはっきりしているものと、学校法人や宗教法人などのように持分の定めのない法人があります。持分の定めのない法人に財産を遺贈した場合、本来なら相続税はかかりません。しかし、自分の親族ばかりをその法人の役員にして、実質的に親族がその財産を使えるようにしているような不当な税逃れが認められた場合には、その法人を一個人の人間とみなして、法人に対して相続税が課される仕組みになっています。
また、PTAや町内会、同好会といった、法律上の正式な法人格はないものの代表者がいる団体、いわゆる人格のない社団等に財産が遺贈された場合も、同様にその団体を個人とみなして相続税が課されます。
さらに厳格なのが、特定の一般社団法人等に対する課税です。一般社団法人は設立が比較的簡単であるため、これを利用して財産を移し替え、相続財産から切り離すという手法が問題視されました。そこで、同族の理事が半分を超えているなどの一定の条件を満たす特定の一般社団法人の理事が亡くなった場合、その法人の純資産のうち亡くなった理事の割合に応じた部分を、その法人が遺贈により取得したものとみなして相続税を課すというルールが設けられています。大見税理士事務所でも、事業を営むお客様から法人を使った節税のご相談を受けることがありますが、現在の法律はこうした抜け穴を塞ぐよう非常に緻密に作られています。安易な団体への財産移転は、かえって重い税負担や複雑な税務調査を招く原因となりますので、専門家による慎重な判断が必要です。
【第5章】 相続税対策で失敗しないために大見税理士事務所がお伝えしたいこと
(この章で得られること:実際に相続の現場で起きるトラブル体験談と、事前の相続対策の重要性がわかります)
ここまで、相続のスケジュールや複雑な納税義務者のルールについて解説してまいりました。最後に、大見税理士事務所が十年のキャリアを通じて経験したリアルな体験談をもとに、皆様の悩みを解決するヒントをお伝えします。
多くの50代の方は、「親の財産がいくらあるのか、怖くて聞けない」という深い悩みを抱えていらっしゃいます。親の財産を当てにしていると思われたくない、縁起でもない話をしたくないという心理が働くのは当然のことです。しかし、あるお客様のケースでは、お父様がお亡くなりになった後、お母様も認知症が進んでおり、実家のタンスから見たこともない銀行の通帳や海外の投資信託の書類が次々と出てきたということがありました。第一章で触れた通り、相続税の申告期限は十箇月しかありません。財産の特定に半年以上かかってしまい、遺産分割の話し合いも兄弟間でまとまらず、最終的にご自身の貯金を切り崩して多額の相続税を納めるという大変苦労された事例です。
インターネットで相続と検索すれば、一般的な節税のテクニックはたくさん出てきます。しかし、大見税理士事務所が考える本当の相続対策とは、テクニックに頼ることではなく、ご両親が元気なうちに家族で財産の状況や将来の希望を共有しておくことに他なりません。「もしもの時のために、口座の一覧だけでもノートに書いておいてほしい」というような、思いやりのあるやさしい一言が、残されたご家族の大きな助けとなります。
相続税がいくらになるのか知りたい、というお悩みは、現状の財産を正確に把握してはじめて解決できるものです。まずはご実家の財産を整理し、どれくらいの価値があるのかをざっくりとでも計算してみることが第一歩です。税金がかかるのかどうかわからない、海外に住んでいる子供への影響が心配だ、といったお悩みがありましたら、お一人で抱え込まずに、ぜひ大見税理士事務所のような専門家にご相談ください。初心者の方にも寄り添い、難しい法律や税金の仕組みを紐解きながら、あなたのご家族にとって最適な相続対策を一緒に考えてまいります。ご両親の築き上げた大切な財産を、円満に、そして負担なく次の世代へ引き継ぐために、今日から少しずつ準備を始めてみませんか。
※この記事においては説明のため簡略化しておりますので詳しくはお問い合わせください。
相続の基本ルールに関する用語
相続の開始
亡くなった瞬間から法的に相続が始まること。民法上、特別な手続きなしに財産や権利義務が引き継がれます。
法定相続人
法律(民法)で定められた、亡くなった人の財産を受け継ぐ権利がある人。配偶者、子供、親、兄弟姉妹などが該当します。
遺言書の検認
家庭裁判所で遺言書の内容や状態を確認し、偽造・変造を防ぐための手続です。公正証書遺言のほか、法務局で保管されている自筆証書遺言について交付される遺言書情報証明書は、検認が不要です。
遺産分割協議
遺言書がない場合に、相続人全員で「誰がどの財産をどれだけもらうか」を話し合って決めること。
申告・納付期限(10か月)
相続の開始を知った日の翌日から10か月以内。この期限までに税務署へ書類を出し、税金を納める必要があります。
プロフィール
大見税理士事務所|東京都目黒区・世田谷区・自由が丘/相続・暗号資産・法人税務に強い税理士。
執筆者は税理士 大見光男(税理士登録番号 156268、東京税理士会玉川支部所属)。相続・暗号資産・法人税務を専門分野とし、13年以上のキャリアを有しています。これまで著書・セミナー・取材などを通じて専門知識を発信してきました。本記事は、制度の概要を一般向けにわかりやすく整理したものです。細部の要件や例外については割愛しております。個別事情により取扱いが異なる場合がありますので、詳細はお問い合わせください(2026年3月現在の法令に基づく解説です)。

