暗号資産(仮想通貨)の確定申告の準備(取引履歴・必要書類)を徹底解説【2025年最新版】|コラム

2025.09.18

仮想通貨

暗号資産(仮想通貨)の確定申告の準備(取引履歴・必要書類)を徹底解説【2025年最新版】

 

大見税理士事務所|東京都目黒区・世田谷区・自由が丘/相続・暗号資産・法人税務に強い税理士。
執筆者は税理士 大見光男(税理士登録番号 156268、東京税理士会玉川支部所属)。相続・暗号資産・法人税務を専門分野とし、13年以上のキャリアを有しています。これまで著書・セミナー・取材などを通じて専門知識を発信してきました。本記事は、制度の概要を一般向けにわかりやすく整理したものです。細部の要件や例外については割愛しております。個別事情により取扱いが異なる場合がありますので、詳細はお問い合わせください(2025年9月現在の法令に基づく解説です)。

はじめに

前回の記事(第1回「仮想通貨の税金の基本」)では、暗号資産の課税の仕組みや基本的なルールを解説しました。 今回は、実際に確定申告をする前の準備段階、つまり取引履歴の整理と必要書類の収集について詳しく説明します。このステップをしっかり行うことで、申告時のミスや税務調査リスクを減らせます。またこの作業が税務調査対策にも正しい税金額計算対策にもなる最重要事項の一つです。

1. 取引履歴がなぜ最重要か

仮想通貨は、株やFXのように「1つの証券会社で完結」している人ばかりではありません。複数の取引所・ウォレット・DEX・レンディングサービスを併用するケースが多いため、利益・損失の全体像が見えにくいのが特徴です。 国税庁もFAQで「暗号資産の取得価額や譲渡価額を合理的に算定できるよう、取引記録を保存する必要がある」と明記しています(所得税法施行規則63条・記帳保存)。ここを怠ると、後から計算できなくなったり、税務調査で推計による更正・決定(所得税法156条)されるリスクが高まります。

履歴に含めるべき情報

取引日時

取引内容(売却、購入、交換、送金、ステーキング報酬受取など)

通貨の種類・数量

取引価格(円換算)

手数料・スプレッド

取引所・ウォレットの名称(どこでの取引か)

これらが揃っていれば、どの時点でどのくらいの利益(または損失)が出たのか計算できます。

2. 取引履歴をどこから取得するか

国内取引所の場合

ビットフライヤー、コインチェック、GMOコインなど日本の主要取引所は「取引履歴CSV」をダウンロードできます。 ダウンロード項目に日付・通貨名・取引量・約定価格・手数料などが含まれているか確認しましょう。 国内取引所については取引履歴等は簡単に入手できます。
日本の取引所のみの利用であれば各社の年間取引報告書を基に、国税庁様式の「暗号資産の計算書」総平均法用移動平均法用)を作成すれば確定申告は可能です。

海外取引所・DEXの場合

バイナンス、Bybit、OKXなどでは履歴が英語表記だったり、期間制限(例 過去3カ月分しか取得できない)があったりします。国税庁のFAQに従い、定期的に保存する習慣をつけることが大切です。円換算は「収入すべき時点の時価」が原則で、実務上は約定時レート等の合理的な基準を一貫して適用します(タックスアンサーNo.2200FAQ)。

DEX・ウォレット

UniswapなどのDEXや、MetaMaskなどのウォレットには「取引履歴CSV」機能がないことが多く、Etherscanなどのブロックチェーンエクスプローラーからトランザクションを取得し、別途エクセルなどに手入力する必要があります。

複数取引所を利用している場合

取引所ごとの履歴をすべてまとめる必要があります。 送金・両替・ウォレット間移動も記録し、二重計上や漏れに注意します。

3. 計算ツール・エクセル活用

自力で計算する場合、移動平均法・総平均法を正しく適用するのは煩雑です。 最近は、仮想通貨の損益計算に特化したクラウドサービス(クリプタクト、Gtaxなど)が普及しています。 CSVを読み込むだけで自動計算でき、申告用のデータ出力も可能。 無料プランもあるので、小規模な取引から試せます。 自作する場合はエクセルで「日付」「取得価額」「数量」「手数料」「時価」「損益」を列にして整理します。

ウォレット間移動の取り扱い

取引所Aから取引所Bへの送金や、自分のウォレットへの移動は「売買」ではありません。そのため儲けの計算に影響しないし、させてはいけません。とても間違いやすいポイントなので注意です。実務では現実の損益と大きく金額が異なるときはたいていウォレット間の移動を損益に含めていることが多いです。

円換算のタイミング

税務上は、日本円での取得価額・譲渡価額を算定する必要があります。 取引所の約定レートをそのまま使うか、当日の公表為替レートを使うか、ルールを決めて一貫して適用します。 海外取引所のドル建て取引は、収入すべき時点の時価に基づいて円換算します(例 No.2200FAQ)。

4. 必要書類の一覧

確定申告に必要となる主な書類は次のとおりです。 (確定申告書の提出義務の根拠 所得税法120条、必要書類の考え方 国税庁FAQ

取引履歴(全取引所・ウォレット)

損益計算書(自作または計算ツール出力)

購入・売却時のスクリーンショット(取引所が履歴を提供しない場合の証拠用)

マイニング・ステーキング報酬受取時の取引明細

必要経費の領収書(電気代、設備費など)

前年分の確定申告書控え(繰越控除がある場合)

本人確認書類(マイナンバーカード等)

マイナンバー・給与所得の源泉徴収票(給与所得者の場合)

5. 取得価額と経費の証明

税務署は、暗号資産の取得価額や必要経費を合理的に算定できない場合、推計課税(所得税法156条)を行うことがあります。 購入時のレシートやスクリーンショットを保存しておくことが重要です。 経費(電気代・パソコンなど)は、事業所得認定される場合に限り一部計上できるケースが多いのですがほとんどの場合はおまけ程度の少額にしかなりません。 これは例えば仮想通貨取引では電気代が必要だからといって全額いれる人がいますが、その売上を上げるための電気代に限られます。これを家事按分といいます。

6. 保存期間

暗号資産の取引記録・証憑書類は、実務上は原則7年保存を推奨します。一方で、青色申告者は「帳簿7年・書類5年(類型により7年)」白色申告者は主要帳簿・書類5年など、内訳があります(所得税法施行規則63条国税庁記帳・保存案内参照)。特に海外取引所は履歴が消えることが多いので、こまめにダウンロードしておくと安心です。

7.よくある間違い

取引の範囲を出し切れていない(国内外取引所・ウォレット・DEX・NFTマーケット・レンディング・エアドロップ等)

単価計算法(総平均法/移動平均法)の未選択・混在

手数料・ガス代の取り込み漏れ

自己ウォレット間の移転を「売買」と誤認

収入区分(雑所得/事業所得等)の判断ミス……基本的に雑所得として認識しましょう。ただし区分は営利性・継続性・反復性など実態で判断されます。収入が300万円超の場合でも、単に帳簿作成の有無だけで自動的に事業所得になるわけではありません(国税庁FAQ参照)。

暗号資産同士の交換を非課税と誤解

NFTやトークン配布(エアドロップ等)の扱いを放置……いわゆるNFTは通常暗号資産に該当しませんが課税の可能性はあります。トークンについては時価がないものも多いですが価値があれば確定申告の計算対象になります。

8. まとめと次回予告

仮想通貨の確定申告を正しく行うためには、取引履歴のダウンロード・整理、証拠書類の保存、損益計算書の作成が必須です。これらを事前に揃えておくことで、申告書作成が格段に楽になります。 次回(第3回)は「利益の計算方法(取得価額・移動平均法・総平均法)」について、具体的な計算例を交えながら解説します。

用語の意義(定義集・テキスト)

暗号資産(仮想通貨)
 資金決済に関する法律(資金決済法第2条5項)で定義される「暗号資産」。不特定の者に代価の弁済に使用でき、かつ法定通貨建てでない価値で、電子的に記録され移転可能なもの。ビットコイン、イーサリアム等が該当します。いわゆるNFTは通常、暗号資産に該当しません(実態により例外あり 金融庁資料)。

確定申告
 個人が一年間(1月1日〜12月31日)の所得と税額を計算し、翌年2月16日〜3月15日に税務署に申告・納付する手続き(所得税法第120条)。

取引履歴
 暗号資産の売買・交換・送金・報酬受取など全ての取引の記録。取引日時、通貨名、数量、取引価格、手数料、取引所名などを含む。国税庁FAQで保存の重要性が示されている(所得税法施行規則63条)。

取得価額
 暗号資産を取得した時の日本円換算価額。売却・交換時に損益を計算する際の基礎となる金額。合理的に算定できない場合は税務署が推計課税(所得税法156条)を行うことがある。

譲渡価額
 暗号資産を売却・交換・使用したときに受け取る対価の日本円換算額。取得価額との差額が課税対象となる。

総平均法/移動平均法
 暗号資産の取得価額を計算する方法。総平均法は年内の取得総額を平均して単価を出す方法、移動平均法は取引のたびに平均単価を更新していく方法(所得税法施行令第119条の2)。

必要経費
 所得を得るために直接必要な費用。暗号資産取引の場合、取引手数料やガス代などが含まれる。雑所得の場合でも必要経費は控除可能(タックスアンサーNo.2210)。

事業所得/雑所得
 暗号資産の利益の区分。営利性・継続性・反復性が認められる場合に限り事業所得として扱われ、帳簿作成が必須となる。通常は雑所得に区分されるが、一定条件を満たすと事業所得に区分可能(国税庁FAQ)。

ウォレット間移動
 自分の口座間・ウォレット間での暗号資産の移動。売買ではないため損益計算に含めてはいけない。

執筆者情報

執筆者 暗号資産専門 税理士 大見 光男

税理士登録番号 156268

東京税理士会所属

大見税理士事務所|東京都目黒区・世田谷区・自由が丘/相続・暗号資産・法人税務に強い税理士

略歴

1982年 東京都大田区・六郷土手にて生まれる

2004年 日本大学卒業

2013年 大田区の会計事務所にて、中小法人・医業・不動産所得の申告・節税対策を担当

2017年 税理士登録。大見光男税理士事務所を開業

2018年 著書『だいたい3分でわかる仮想通貨の税金の話』(税務経理協会)を出版

2022年 病気療養のため一時休業

2025年 税理士に再登録し、「大見税理士事務所」を再スタート

保有資格

税理士(税理士登録番号 156268)

セミナー・講演実績

サンワード貿易株式会社 仮想通貨税金セミナー(2019年10月)

仮想通貨節税セミナー「法人化のメリット・デメリット」(2018年10月)

サンワード貿易株式会社「知っていると知らないとじゃ大違い!!」仮想通貨税金セミナー(2018年10月)

一般社団法人日本マイニング協会主催「暗号通貨投資と節税セミナー」(2018年8月・9月・10月)

税理士による仮想通貨の確定申告セミナー(2018年1月)

メディア取材

株式会社KADOKAWA「ASCII.jp」取材(2018年2月)

税理士ドットコム 取材(2018年10月)

書籍・寄稿

『税経通信』1月号 特集(税務経理協会)「仮想通貨の基礎知識と所得計算実務」(2018年12月)

『だいたい3分でわかる仮想通貨の税金の話』(ぱる出版)」(2018年10月)

監修 税理士 大見光男(登録番号 156268)/大見税理士事務所

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